需給動向 国内


◆牛 肉◆

平成25年4月米国産牛肉輸入量、「ばら」が急増

◇絵でみる需給動向◇


 財務省「貿易統計」によると、平成25年4月の牛肉輸入量(部分肉ベース)は、4万5736トン(前年同月比22.9%増)と大幅に増加した。国別に見ると、豪州産が2万4025トン(同1.7%減)とわずかに減少した一方、米国産は1万5679トン(同85.2%増)と大幅に増加している。この要因として、(1)前年同月が大幅に減少した反動、(2)25年2月1日から米国産牛肉の輸入条件月齢が「20カ月齢以下」から「30カ月齢以下」に緩和されたこと、(3)円安の進行を懸念した手当ての前倒し、が考えられる。

 米国産の輸入量を部位別に見ると、主に牛丼や業務用の材料として需要の多い「ばら」が1万237トンと全体の65パーセントを占め、18年7月の米国産牛肉の輸入手続き再開以来、最も多い輸入量となっている。さらに、冷凍品ばらの輸入単価を見ると、円安傾向の中にあっても、25年4月はキログラム当たり360円(同2.3%減)と、前年同月を下回っている(図1)。
図1 米国産牛肉の部位別輸入量等の推移
資料:財務省「貿易統計」
  注:部分肉ベース

平成25年4月牛枝肉卸売価格は堅調に推移

 平成25年4月の牛肉輸入量は大幅に増加したものの、国内の牛肉相場には大きく影響していない模様である。農林水産省「食肉流通統計」によると、25年4月の牛枝肉卸売価格は、堅調に推移している。東京市場においては、和牛去勢A−4が1,831円(前年同月比11.4%高)、交雑去勢B−3が1,192円(同11.6%高)、乳去勢B−2が732円(同43.2%高)と、それぞれ前年同月を上回った。東京市場の同価格は、23年7月以降、放射性セシウムの風評被害により低迷していたが、24年9月以降は前年同月を上回って推移しており、直近の25年5月においても和牛去勢A−4の1,916円(同17.3%高)をはじめとして他の品種も堅調な相場となっている(図2)。

図2 牛枝肉卸売価格(東京市場および大阪市場)の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」
注 1:25年5月は速報値
注 2:23年7月の乳去勢B−3(東京市場)については取引実績がない。

BSE検査対象牛、平成25年7月1日より「48カ月齢超」に緩和

 平成25年5月13日、内閣府食品安全委員会は、25年5月末に行われる国際獣疫事務局(OIE)総会でわが国が「無視できる牛海綿状脳症(BSE)リスク」の国として決定される見通しの中、厚生労働省に対し、BSE対策の見直しに係る食品健康影響評価の結果について「と畜場における検査対象月齢を『48カ月齢超』に引き上げたとしても、人への健康影響は無視できる」と回答した。

 厚生労働省はこれを受け、種々の手続きを経た上で、6月3日に牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則の一部を改正し、7月1日からBSE検査対象の牛の月齢を、現行の「30カ月齢超」から「48カ月齢超」に引き上げることとなった。

 農林水産省は、25年5月29日、わが国がOIE総会において「無視できるBSEリスク」の国に認定された旨を報告した。わが国のBSE対策の妥当性・有効性について、国際的な検証に基づく評価が得られたことから、これを期に国内外で日本国産の牛肉の消費が拡大することを期待したい。

                            (畜産需給部需給業務課 小田垣 諭司)


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