チーズの輸出量は好調を維持
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が6月5日に公表した「Dairy Product」によると、5月のバター生産量は輸出および国内価格ともに好調なチーズ向けが増加したことにより、前年同月比0.3パーセント減の7万7000トン、脱脂粉乳は同15.7パーセント減の7万3000トンとなった。一方、チーズ生産量は堅調な輸出需要を背景に同3.5パーセント増の42万1000トンとなった。
また、4月の乳製品の輸出を見るとバターが同28.8パーセント減の4,267トンとなったものの、脱脂粉乳は同40.5パーセント増の5万5000トン、バターが5.7パーセント増の2万6000トンとなった。チーズは昨年12月から5カ月連続で前年を上回って推移しており、1〜4月の輸出量は前年同期比7.1パーセント増の9万6000トンと好調を維持している(図12)。チーズについて主な輸出先国を見ると、メキシコ、韓国、日本、カナダで全体の6割を占めており、韓国を除く3カ国で前年を大きく上回る輸出量となった。
図12 チーズ輸出量の推移 |
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資料:USDA/FAS |
乳製品の国内価格は高値で推移
乳製品卸売価格の動きについて、同省農業市場流通局(AMS)が5月7日に公表した「Dairy Market News」によると、4月の1ポンド当たりの価格は、バターが前年同月比21.7パーセント高の172.0セント(キログラム当たり390円、1米ドル=102円)、脱脂粉乳が同33.2パーセント高の162.3セント(同368円)、チェダーチーズが同9.6パーセント高の260.6セント(同591円)となり、いずれも前年同月よりも高い水準となっている。
一方、チーズの国際価格を見ると、主要な乳製品輸出地域であるオセアニアの価格は、干ばつの影響により生乳生産量が減少し、上昇基調にあるのに対し、米国(シカゴ商品取引所(CME)のチーズスポット取引価格)は上昇幅が小さいことから、両国の価格差が再び大きくなった(図13)。今後、オセアニアのチーズ価格は、生乳の減産により高値で推移することが見込まれることから、米国産チーズの価格競争力は維持されるものとみられる。
図13 米国とオセアニア地域のチーズ価格の推移
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資料:USDA/AMS「Dairy Market News」
注 1:米国の価格は、CMEのスポット取引価格(ブロックチーズ)
注 2:オセアニア地域の価格は、USDA/AMSが調査したFOB価格で、チェダーチーズ・水分
含有率39%以下のもの |
生産者乳価は前年同月を大幅に上回る
米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が5月24日に公表した「Milk Production」によると、4月の生乳生産量は、堅調な乳製品需要を受け前年同月比0.2パーセント増の783万3000トンとなり、3カ月ぶりに増加に転じた。また、同省が5月31日に公表した「Agricultural Prices」によると、2013年4月の生産者乳価(以下、乳価)は同16.1%高の100ポンド当たり19.50ドルとなり、7カ月連続で前年同月を上回った(図14)。今後、乳価は好調に推移するとみられる一方、飼料価格は飼料穀物の増産により第3四半期以降下落が見込まれることから、生産者の生産意欲は高まるものと予測される。また、米国農務省経済調査局(USDA/ERS)は5月16日に公表した「Livestock, Dairy, and Poultry Outlook」も、2013年の生乳生産量は前年を上回ると見込んでいる。
図14 乳価の推移
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資料:USDA/NASS「Agricultural Prices」 |
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