需給動向 国内

◆豚 肉◆

低水準の冷凍品輸入量を背景に、 加工仕向け部位の仲間相場が上昇


◇絵でみる需給動向◇


4月の冷凍品輸入量、3カ月連続の4万トン割れ

 平成25年4月の豚肉輸入量は、6万1989トン(前年同月比15.7%増)となり、このうち、冷凍品は、3万7540トン(同19.4%増)となった(財務省「貿易統計」、図3)。この大幅な増加は、輸入申告に係る審査・検査の充実化に伴い、前年同月が大幅な減少となったことによるもので、数量としては、為替の円安傾向などから、3カ月連続で4万トンを下回り、比較的低水準の輸入量となっている。このため、市場関係者によると、「うで」や「もも」といった加工仕向け部位に不足感があるとしている。

 こうしたことから、4月の推定期末在庫は、前月から615トン取り崩され、17万3945トン(同2.4%減)と、5カ月連続で前年同月を下回った(機構調べ)。

 一方、4月の豚肉調製品の輸入量は、1万6867トン(同6.3%増)と増加した。これは、豚肉冷凍品の代替として、加工原料としての需要が高まっているものとみられ、直近3月の豚肉調製品の加工仕向け肉量は、7,736トン(同17.5%増)となっており、24年6月以降、10カ月連続で前年同月を10ポイント以上、上回って推移している(日本ハム・ソーセージ工業協同組合調べ)。

 なお、主にテーブルミートに仕向けられる冷蔵品の輸入量は、2万4448トン(同10.5%増)と、7カ月連続で2万トン前半の輸入量となった。

図3 豚肉および豚肉調製品の輸入量の推移
資料:財務省「貿易統計」

輸入豚肉の仲間相場、冷凍品を中心に上昇

 冷凍品輸入量が低水準で推移する中、4月の輸入冷凍品の仲間相場は、米国産「うで」がキログラム当たり513円(前年同月比24.8%高)、カナダ産「もも」が同534円(同16.6%高)と、加工仕向け部位を中心とした不足感から大幅に上昇している(機構調べ、図4)。卸売関係者によると、加工メーカーが例年より早めにお中元に向けた原料の確保をする傾向にあるためとしている。

 一方、輸入冷蔵品の仲間相場は、米国産「ロース」が同583円(同2.5%安)、米国産「ばら」が同606円(同0.7%安)と、安定的な供給量を背景に、小幅な値動きとなった。
図4 輸入品の仲間相場の推移

資料:機構調べ、農林水産省「食肉鶏卵速報」
  注:国産枝肉省令規格は東京・大阪市場の加重平均

国産豚肉の仲間相場、全般的に上昇

 輸入冷凍品の仲間相場の上昇は、国産品の仲間相場にも影響を及ぼしている。

 4月の国産冷凍品の仲間相場は、「ロース」がキログラム当たり687円(前年同月比2.0%安)と下落した一方、「うで」、「もも」は輸入冷凍品からの代替需要により、それぞれ同467円(同8.6%高)、同495円(同11.0%高)と、上昇している(機構調べ、図5)。

 一方、4月の国産冷蔵品の仲間相場は、「ロース」が同864円(同8.5%高)、「うで」が同505円(同14.5%高)、「もも」が同539円(同15.4%高)と、それぞれ上昇した。中でも「うで」、「もも」の上昇幅が大きいのは、輸入冷凍品における加工仕向け部位の不足感によるものとみられる。

 なお、4月の豚肉生産量は、7万8786トン(同5.2%増)となり(農林水産省「食肉流通統計」)、4月の豚枝肉卸売価格(東京・大阪市場の省令規格加重平均)は、同467円(同6.9%高)となった(農林水産省「食肉鶏卵速報」)。生産量が増加する中で、枝肉相場、国産品の仲間相場共に上昇しており、国産品における加工仕向け部位への一定の需要が、枝肉相場、他の部位の仲間相場を押し上げているものと推察される。

                               (畜産需給部需給業務課 根本 悠)

図5 国産品の仲間相場の推移
資料:機構調べ、農林水産省「食肉鶏卵速報」
  注:国産枝肉省令規格は東京・大阪市場の加重平均

元のページに戻る