需給動向 国内


◆牛 肉◆

平成24年度の牛肉需給、生産量はわずかに前年を上回る

◇絵でみる需給動向◇


 平成24年度の牛肉需給(部分肉ベース)は、牛肉生産量が35万9737トン(前年度比1.7%増)、輸入量が50万5720トン(同2.0%減)、推定出回り量が85万8745トン(同1.9%減)となった(表1)。増加傾向にあった輸入量は前年を下回ったものの、生産量は4年ぶりに前年を上回った。
表1 牛肉需給表
資料:農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、在庫量は農畜産業振興機構調べ。
  注:数量は部分肉ベース。輸入量は煮沸肉並びにくず肉のうちほほ肉および頭肉のみ含む。

と畜頭数、和牛と交雑種で前年を上回る

 平成24年度の品種別と畜頭数について見てみると、和牛は19年度以降、増加傾向で推移しており、53万9846頭(前年度比2.9%増)とわずかに増加した(農林水産省「食肉流通統計」、図1)。交雑種については、20年頃の生乳需給の逼迫時に、生乳増産を図るため後継搾乳牛を確保しようと乳用種との交配が進んだ。この結果、交雑種の出生頭数が減少し、23年度までと畜頭数は減少していたが、24年度は22万4938頭(同2.5%増)とわずかに増加した。乳用種は40万4480頭(同1.8%減)とわずかに減少したものの、和牛と交雑種で前年を上回ったため、と畜頭数全体では119万2096頭(同1.0%増)となった。

図1 品種別と畜頭数の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」

平成25年度上期の牛肉生産量は前年を下回る見込み

 平成24年度の月毎のと畜頭数の推移を見ると、24年12月以降はおおむね前年同月を下回って推移している。独立行政法人家畜改良センターが4月19日に公表した25年3月末時点の牛個体識別情報による月齢別飼養頭数を見ると、月齢21カ月齢以上の頭数が前年同期と比べ下回っている(図2)。これは肉用牛の主要産地である宮崎県における22年4月の口蹄疫発生により、出生頭数が減少したことが一因と考えられ、25年度上半期の牛肉生産量は前年を下回って推移するものと思われる。
図2 月齢別飼養頭数の比較
資料:(独)家畜改良センター「牛の種別・性別・月齢別の飼養頭数」

宮崎県の飼養頭数、口蹄疫発生前の9割弱まで回復

 平成22年4月の宮崎県での口蹄疫発生から3年が経過した。宮崎県農政水産部が25年4月24日に公表した「口蹄疫終息後の畜産農家の経営再開状況について」によると、25年2月1日時点の宮崎県内の飼養頭数は、口蹄疫発生前(22年2月1日時点)と比べ肉用牛と乳用牛の合計では87パーセントまで回復している。

 なお、酪農家を含めた肉用牛の生産農家の経営再開戸数は、およそ6割の回復にとどまっている。同資料によると、高齢化などにより戸数全体が減少している中で、今後大きく伸びることは期待できない状況ではあるものの、今年3月に策定した「宮崎県畜産新生プラン」に基づく生産性の向上などの取り組みにより、県全体での飼養頭数の確保を図るとしている。


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