厚生労働省は、牛海綿状脳症(BSE)対策の国内措置見直しの結果、平成25年2月1日に関係省令を改正し、4月1日より施行した。今回の見直しにより、BSE検査を実施する牛の対象月齢が「20カ月齢超」から「30カ月齢超」に引き上げられることとなった。また、特定危険部位(SRM)の除去の対象も改正され、30カ月齢以下は回腸遠位部および扁桃のみとなった(表1)。
なお、省令上、30カ月齢以下の牛のBSE検査は対象外となったが、と場におけるBSE検査費用の補助(21カ月齢以上)について、厚生労働省は4月の段階では継続することとし、食品安全委員会の次回の答申の際に見直すとしている。
表1 BSE対策の国内措置の見直し |
|
資料:厚生労働省 |
プリオン専門調査会が「48カ月齢超」までの引き上げに合意
見直しの省令の施行から翌々日の平成25年4月3日、内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会は、検査対象月齢を「30カ月齢超」からさらに「48カ月齢超」に引き上げても人への健康影響は無視できるとの判断で合意し、これに基づき食品安全委員会は25年4月9日から5月8日まで国民からの意見・情報の募集(パブリックコメント)を行っている。
今後は寄せられた意見・情報を精査の上、必要に応じプリオン専門調査会での審議、さらに食品安全委員会における審議・決定を行い、厚生労働省へ結果を通知する予定としている。
今後の牛肉消費動向を注視
5月末に行われる国際獣疫事務局(OIE)の総会で日本が「無視できるBSEリスク」として決定される見通しである。近年の牛肉の消費動向(推定出回り量)について見てみると、平成13年9月に国内で初めてBSE発生が確認されて牛肉全体の出回り量は大きく落ち込んだ。15年12月には米国でもBSEが発生したことを受け米国産牛肉の輸入が停止されたことに伴い、さらに出回り量は減少した。その後、18年7月には米国からの輸入が再開され、米国産牛肉の輸入量が増加するにつれ、出回り量もわずかながら増加傾向で推移している(図1)。
牛肉消費量の約3割を占める家計消費においては、13年以降大きく落ち込み、その後はおおむね横ばいで推移しておりBSE発生前の12年の水準には至っていない。
なお、輸入牛肉については、25年2月1日から輸入可能な月齢条件を米国産、カナダ産、フランス産は「30カ月齢以下」、オランダ産は「12カ月齢以下」と緩和したところである。厚生労働省では、輸入牛肉の月齢制限をさらに引き上げることについて、引き続きプリオン専門調査会において審議を進めていくこととしている。
図1 牛肉推定出回り量の推移(暦年ベース) |
|
資料:農畜産業振興機構調べ
注:部分肉ベース |
|