需給動向 国内


◆牛 肉◆

輸入牛肉仲間相場は堅調に推移

◇絵でみる需給動向◇


 平成25年6月の牛肉輸入量は、3万5846トン(前年同月比23.0%減)となった(財務省「貿易統計」)。このうち、生鮮・冷蔵品は1万5802トン(同12.2%減)、冷凍品は1万9996トン(同29.9%減)と、いずれも前年同月実績を大きく下回った。特に冷凍品は、業界内で輸入通関審査時期を調整する動きがあったことにより大幅に減少した。しかしながら、今年度第1四半期(4〜6月)の輸入量は、13万7191トン(前年同期比8.9%増)と前年をかなりの程度上回った。

 輸入量増加の背景にあるのは、本年2月1日から実施された輸入牛肉の月齢制限緩和措置であり、これにより、米国産輸入量は6月が1万3684トン(前年同月比12.0%増)、第1四半期では5万273トン(前年同期比59.3%増)と、急激な伸びを見せた。ただし、品目別に見ると、既報の通り「ばら」は生鮮・冷蔵品、冷凍品ともに大きく増加したものの、それ以外の品目については目立った変化は認められなかった。主要部位の国内仲間相場を見ると、ショートプレート(ばら)については、昨年の価格高騰時と比較すると下落しているものの、23年度前半の水準までは低下しておらず、ストリップロイン(サーロイン)やチャックアイロール(かたロース)についても、直近3年間で最も高い価格帯を維持している(図1)。これは、現地相場高、円安傾向で推移している為替相場および他国との競合による輸入価格の上昇などによるものであり、今年度後半も同様の状況が継続すると予想される。

図1 米国産牛肉の仲間相場
資料:農畜産業振興機構調べ
 輸入量の中で約6割のシェアを持つ豪州産は、米国産とは対照的に減少傾向が続いており、6月は1万8206トン(前年同月比34.8%減)、第1四半期の累計でも7万451トン(前年同期比10.3%減)となった。豪州産は米国産と同様に厳しい買い付け環境にあり、仲間相場も軒並み上昇基調で推移していることに加え、月齢制限緩和措置の実施以降、徐々に米国産への切り替えが進んでいることから、今後は豪州産のシェアが低下傾向で推移する可能性がある(図2)。
図2 豪州産牛肉の仲間相場
資料:農畜産業振興機構調べ

国産品も堅調な価格推移

 一方、6月の国内の牛肉生産量は、2万7153トン(前年同月比3.5%減)となった(農林水産省「食肉流通統計」)。内訳を見ると、和牛が1万2221トン(同4.0%減)、乳用種が8,643トン(同5.4%減)、交雑種が5,900トン(同0.6%増)と、和牛と乳用種が少なからず減少しており、いずれも当面は前年を下回って推移すると見込まれている。

 品種別、月別の生産動向には変動があるものの、平成25年4月以降、業界内で供給量の不足感が表れ始めたことなどから、枝肉卸売価格は高水準で推移している。6月の東京市場における枝肉卸売価格は、去勢和牛A−4がキログラム当たり1,888円(同14.8%高)、交雑種去勢牛B−3が同1,205円(同13.9%高)、乳用種去勢牛B−2が同776円(同21.4%高)と堅調に推移しており、特に、昨年末から減少傾向が継続している乳用種は逼迫感が強く、価格上昇率が大きい(図3)。

 7月前半は、4〜6月に価格が大きく上昇したことから、需要が離れた局面もあったが、同月後半から8月上旬にかけてはバーベキュー需要や旧盆に向けた手当てにより、荷動きが若干改善した。ただし、業界関係者によると、卸売価格が8月中旬現在も前年を大きく上回っている最大の要因は供給量の減少であり、必ずしも末端需要を反映した価格動向とはなっていないもようである。

                                      (畜産需給部 田中 あや)

図3 牛枝肉卸売価格(東京市場)の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」「食肉卸売市場調査(日別)」
注 1:23年7月の乳去勢B−3については取引実績がない。
  2:25年7月は速報値



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