2012年までの生乳需給予測を公表


◇絵でみる需給動向◇


 欧州委員会は7月29日、2005〜2012年における欧州連合(EU)の主要農産物の需給に関する中期予測を公表した。これは、2005年5月までに公表されたデータを基にしたものであり、生乳に係る内容は以下のとおり。


● ● ● 生乳生産量はわずかに増加して1億4,500万トン ● ● ●

 EUの生乳生産は、84年に導入された生乳生産割当枠(クオータ)制度の下で行われている。クオータ制度は、2003年6月に合意された共通農業政策(CAP)改革により2014/15年度まで継続され、2004/05年度からは3年間、毎年度クオータを0.5%ずつ拡大することとなっている。

 今回の見通しによると、2012年におけるEU25カ国の生乳生産量は、2003年と比較して1.0%増の1億4,500万トンとわずかに増加すると予測されている。これを地域別に見ると、従来からの加盟国であるEU15カ国は同1.1%増の1億2,310万トン、新規加盟国(NMS)は同1.4%増の2,200万トンとなっている。なお、NMSの生乳生産量は全体の15.2%を占めており、既に域内の生乳需給に大きな影響を与える存在となっている。また、EU25での生乳出荷量は同3.4%増の1億3,600万と見込まれている。


● ● ● 乳用経産牛飼養頭数はかなり大きく減少 ● ● ●

 乳用経産牛1頭当たりの泌乳量は、育種改良の伸展および飼養管理技術の向上などにより増加傾向で推移している。このことはクオータ制度の下で、乳用経産牛頭数が年々減少することを意味しており、2012年は2003年と比較して11.3%減の2,120万頭とかなり大きく減少すると予測されている。

 地域別に見ると、2012年のEU15カ国の乳用経産牛飼養頭数は同10.4%減の1,730万頭、NMSは同19.1%減の380万頭になるとされ、NMSの減少幅がEU15カ国より大きくなっている。


● ● ● 1頭当たりの泌乳量は14.9%増加の見込み ● ● ●

 上段で述べたとおり、乳用経産牛1頭当たりの泌乳量は年々増加しており、2012年は2003年と比較して14.9%増の6,813キログラムに達すると予想されている。また、地域別では、EU15カ国は同12.8%増の7,077キログラム、NMSは同24.2%増の5,634キログラムとなり、NMSの泌乳量はEU15カ国より約2割低くなっている。しかし、NMSの泌乳量の上昇率はEU15カ国をしのいでおり、EUへの加盟による経済発展によって生乳需要の増大が予想されることなどから、長期的にはEU15カ国の数値に近づいて行くとされている。

 なお、現在、NMSで生産される生乳のうち、農家における自家消費および直接販売は全体の25%以上を占めているとされる。

EU25の生乳需給の推移(2003〜2012)


資料:欧州委員会「Prospecs for agricultural markets in the EU」



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