● ● ● 南東部で減産も、チーズ生産量は好調に推移 ● ● ●
米国農務省(USDA)によると、8月のチーズ生産量は、前年同月比3.9%増の35万7千トンとなり、前年を上回る水準で推移している。干ばつにより生乳生産量の減産が懸念されていたが、その影響は南東部など局部的なものにとどまるとされており、主要23州の8月の生乳生産量も前年比1.6%増の628万7千トンとなった。
干ばつの影響を受けたとされる南東部では、バージニア州とフロリダ州において、8月の生乳生産量がそれぞれ前年同月を2.1%、1.8%下回った。東南部全体のチーズ生産量は、前年同月比18.1%減の1,381トンとなったが、全米の生産量から見るとその影響はほとんどなかった。しかしながら、USDAによると、南東部では、生乳生産量の減産から、加工原料乳が不足する事態が生じていたとしている。
● ● ● チーズの在庫量は、おう盛な需要から減少傾向へ向かうと予測 ● ● ●
8月のチーズの民間在庫量は、前年同月を4.7%上回る38万6千トンとなった。例年、秋は在庫量が減少するとされるが、昨年は予測されたほど在庫が取り崩されず、また生乳生産量の増加に伴いチーズの生産量も増加していることなどから、昨年11月以降、前年同月をやや上回る水準で推移している。しかし、好調に推移する生産量の増加分は、需要の増加分に吸収されると見込まれており、USDAは、今後、チーズの在庫量が減少傾向で推移するとの予測を示している。アメリカにおけるチーズの消費量は、モッツアレラチーズに代表されるイタリアンタイプの人気の上昇などを背景に年々増加している。
チーズ民間在庫量の推移
資料:USDA「Cold Storage」 |
● ● ● チーズの価格は緩やかに上昇へ ● ● ●
USDAは、在庫減少の予測と併せて、今後、秋に向けて価格が緩やかに上昇すると見込んでいる。チェダーチーズの価格は3月以降、おおむねポンド当たり188セント(キログラム当たり493円:1ドル=119円)前後で安定していたものの、価格が好調に推移した前年をかなりの程度下回っていた。8月下旬以降は緩やかに上昇し、9月末には、同196.2セント(同515円)となっている。
チーズ生産量とチェダーチーズ価格の推移
資料:USDA |
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