更新牛需要が緩和、生乳価格は徐々に回復と予測


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生乳生産量の動向は干ばつの影響が懸念 ● ● ●

 米国農務省(USDA)によると、7月の主要23州の生乳生産量は、今夏の干ばつの影響が懸念される中、631万3千トンとなり、前年同月比1.5%増となった。1頭当たりの乳量が同0.2%増と伸び悩んだものの、飼養頭数が同1.3%増となり、7月時点では、干ばつによる生産量への影響は出ていない。しかし、州別に見ると、23州のうち9州で生乳生産量が前年を下回っており、1頭当たりの乳量は10州で前年を下回っている。特にケンタッキー州とミズーリ州の生乳生産量は、それぞれ同8.9%減、同8.2%減と大きく下回り、全米生産量の2割を占めるカリフォルニア州でも同0.3%減となった。そのほかワシントン州で同4.3%減、オレゴン州で同3.5%減などとなっている。

 干ばつによる悪影響を考慮したUSDAは、8月公表の年間生乳生産量予測を8,223万6千トンとし、前月公表の8,259万9千トンからわずかに下方修正した。


● ● ● 未経産更新牛飼養頭数増も、更新牛価格は下落 ● ● ●

 USDAによると、7月1日現在、更新用未経産牛の飼養頭数は、前年同月比3%増の380万頭で、ここ5年間で最も多く、生産者の保有意欲の高さがうかがえる結果となっている。一方、更新牛価格は下落傾向で推移している。干ばつの影響により飼料不足が予測される状況下では、死亡牛や老齢牛の更新が進むことも考えられるが、USDAは、最近の更新牛価格の下落傾向の要因を「更新牛需要の緩和」とみており、悪天候の影響も併せて、牛群縮小の可能性を示唆している。

 更新牛価格は、2004年に生乳農家販売価格の一時的な上昇から農家収益が好転、規模拡大意欲が高まったため、2005年以降1,800ドル(20万7千円:1ドル=115円)前後の高値で推移していた。2005年10月には、記録的な高値となる1,870ドル(21万5千円)にまで高騰したが、2006年7月には1,680ドル(19万3千円)にまで下落した。

乳用種更新牛の価格の推移

資料:USDA/NASS「Agricultural price」


● ● ● 生乳の農家販売価格は強含みで推移と予測 ● ● ●

 一方、8月以降は例年の暑熱による生乳生産量の減少に加え、干ばつの影響が相まって、乳製品向けの生乳仕向け数量は減少している。特に南東部では、地元での生乳生産の減産分を補うため、加工原料乳を周辺地域から調達する事態が生じている。また、新学期を迎え、学校などの需要拡大が見込まれるため、加工原料乳の確保が一層難しくなることが予測されている。さらには、冬に向け、季節変動的な乳製品の在庫が徐々に減少することから、USDAは、生乳の農家販売価格について、徐々に回復すると見込んでいる。100ポンド当たり12ドル台(キログラム当たり30円)前半で低迷している農家販売価格は、第4四半期には12.8ドル(同32円)から13.4ドル(同34円)の範囲で推移すると見込まれている。


元のページに戻る