回復傾向を示す2006年のデンマークの豚飼養動向


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 2006年7月センサス、前年比4.5%増の1,339万頭 ● ● ●

 デンマーク豚肉機構連合(DS)が公表した2006年7月時点の同国の豚飼養頭数は、前年比4.5%増の1,339万頭とやや増加した。同国の豚飼養頭数は、2005年は前年比2.7%減の1,281万頭とわずかに減少したものの、堅調な生体豚および豚肉の輸出を反映して豚飼養状況は回復基調にあるものと思われる。

 デンマークは、EU25カ国の中でドイツ、スペイン、フランス、ポーランドに次ぐ第5位の豚肉生産国であり、豚肉生産量の約8割を輸出に仕向けるEUで最大の豚肉輸出国である。わが国の豚肉輸入の面から見てもデンマークは米国に次ぐ輸入相手先(平成17年度)であり、同国の豚飼養動向が世界の豚肉需給に及ぼす影響は大きいものとなっている。

デンマークの豚飼養頭数の推移

資料: デンマーク統計局
注: 7月1日時点

● ● ● 豚飼養頭数、すべての区分で増加 ● ● ●

 調査結果を区分別に見ると、前回の2006年1月時点のセンサスでは繁殖豚と肥育豚の双方で前年を下回ったが、それとは逆に今回はすべての区分で増加に転じている。区分別に見ると、2006年の繁殖雌豚頭数は前年比5.0%増の142万2千頭、そのうち未経産豚も同5.0%増の21万2千頭と前年をやや上回った。また、子豚が同6.5%増の250万頭、50キログラム未満の肥育豚が同1.8%増の571万1千頭、それ以上の肥育豚が同4.5%増の372万7千頭とそれぞれ増加した。

● ● ● ドイツ向けを中心に増加が続く生体豚の輸出 ● ● ●

 DSは、2006年1〜7月のデンマークの豚と畜頭数が2%減少したことの主因を、ドイツ向けを主とした生体豚の輸出が増加したこととしており、今後とも同国の豚と畜頭数は生体豚の輸出動向に左右されるとみている。

 デンマークの豚枝肉卸売価格(市場参考価格:100キログラム当たり)は、2006年に入って上昇傾向にあり、3月以降は5カ月連続で前年同月を上回っている。2006年1〜7月の平均価格は、前年同期比4.4%高の126.4ユーロ(18,707円:1ユーロ=148円)とやや上昇した。なお、今年の夏場の猛暑によって欧州各国の肉豚の生産性は低下したと伝えられており、このことが生体豚輸出の増加に加えて豚肉価格の上昇要因の一つになっているとされている。

● ● ● デニッシュ・クラウン社、国内での豚肉生産縮小の動き ● ● ●

 デンマーク最大手の豚肉生産会社であるデニッシュ・クラウン社はこのほど、ドイツへの生体豚輸出が増加したため国内における豚と畜頭数が減少しているとして、2006年9月以降複数の豚と畜場を閉鎖すると発表した。この背景の一つとして厳しさを増す国内の環境規制および生産コストの増大が挙げられており、デンマークは、ドイツをはじめ、新規加盟国(NMS)の中で豚肉の生産および消費が最大のポーランドに養豚場やと畜加工施設の一部を移転する動きを進めているとされる。輸出した生体豚をそこで肥育・と畜して、主にハムやソーセージなどの調製品は国内向け、豚肉は輸出に向けられており、こうした動きは今後加速するものと思われる。


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