● ● ● 2006年の豚肉輸出量、前年比2.5%増の115万5千トン ● ● ●
デンマークはEUで最大の豚肉輸出国であり、現在140カ国以上に豚肉を輸出している。イギリス食肉家畜委員会(MLC)が公表した2006年のデンマークの豚肉(冷凍・冷蔵)輸出量は、前年比2.5%増の115万5千トンとわずかに増加し、同3.0%減少した昨年の状況から回復する兆しを見せている。欧州委員会が先ごろ公表した2006年12月時点のEU各国の豚飼養頭数調査によると、デンマークの豚飼養頭数は繁殖および肥育部門のすべてのカテゴリーにおいて前年に比べて増加していることから、今後、豚肉の輸出余力は増加すると見込まれる。
● ● ● ロシア向けを中心に、日本以外への輸出が増加 ● ● ●
輸出先別にみると、第5位の輸出先であるロシア向けが、前年の3倍以上の10万6千トンと大幅に増加している。ロシアは、近年の経済力の拡大を背景としてEUや南米をはじめ各国から農畜産物の輸入を増やしており、最近はデンマークから輸入する豚肉の形態も、以前と比べて冷蔵品やロイン系など高級部位が増加しているとされる。また、ブラジルにおける口蹄疫の発生による輸入停止措置もロシアがデンマークからの豚肉輸入を増加させている要因の一つとなっている。
これとは逆に、第2位の日本向けは同20.2%減の17万6千トンと大幅に減少した。これは、従来日本がデンマークから主に輸入していた高級部位などにおいて、ロシアとの競合が激化したことや、ユーロなどに対する円安傾向が主因となっている。日本に次ぐイギリスやイタリア向け輸出量も日本に迫るほど増加しており、こうした状況が続けば近い将来、日本向けの順位はさらに下がって行く可能性も強い。
なお、MLAは特に、2006年はEUの食生活に重要なベーコンの輸出が大幅に増加したとしており、9割を占めるイギリス向けが前年より約2割増えたことから、前年比21.1%増の10万8千トンとなっている。
デンマークの豚肉輸出量の推移 |
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デンマークのベーコン輸出量の推移 |
資料:MLC |
● ● ● 生体豚輸出も大幅に増加 ● ● ●
一方、同国からの生体豚の輸出量も、前年比15.9%増の382万9千頭とかなり大きく増加した。これは、第2位のオランダ向けは減少したものの、第1位のドイツ向けが国内のおう盛な需要を受け同16.9%増の351万5千頭と大幅に増加した影響が大きい。なお、数量は少ないものの、ロシア向けも前年の約7倍と大幅に増加しており、豚肉部門と同様に今後は生体豚の輸出先としてのシェアを増やして行くものと思われる。
デンマークの生体豚輸出量の推移 |
資料:MLC |
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