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政府との交渉に進展なくスト再開(アルゼンチン)

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農業スト以降、交渉に進展なし

 3月から続いた穀物輸出課徴金制度(輸出税)の改正に関する経済省決議を巡るアルゼンチン政府と生産者団体の対立は、7月に上院で否決され、同決議が無効化された
(既報:http://lin.alic.go.jp/alic/week/2008/ar/ar20080722.htm)ことで、とりあえず一段落した。
両者は現在、農畜産物の輸出量規制の緩和や小規模生産者に対する輸出税率の緩和などについて協議を再開している。しかしながら、政府との交渉に大きな進展が見られないことから、生産者の不満は募っており、アルゼンチン農業連合会(FAA)は抗議活動の再開に向けた集会の開催などを行っている。

拡大傾向が続く大豆生産

 アルゼンチンでは、2008/09年度も大豆の作付拡大が見込まれている。このことは政府が望む、大豆の生産を減らし、国内需要の多い小麦やトウモロコシの生産を増加させる方向とは反対の結果である。FAAによれば2008/09年度の生産の現状については、「大豆は、少ない降雨でも育つこと、肥料を必要としないため低コストであることなどから、生産が拡大している。

 小麦は、農業ストによる物流の停滞、は種期の降雨不足、肥料価格の上昇、豪州での生産回復などにより、今年の作付けは大幅に減少している。また、降雨不足が続いていることから、生産量はこれまでの見通しより減少し、1,000万トン程度とみている。政府による輸出量規制が続くと、減少傾向は続くであろう。

 また、肉用牛生産や酪農も同様に政府による規制が続くと、大豆生産に転向する傾向は続くであろう。」とのことであった。
表
注:2008/09年度の生産量は民間機関の予測値

要望の実現のため自ら法案を作成

 しかしながら、FAAにとっても、一時期しか人手を必要としない大豆生産の拡大は、地方集落の過疎化を招くことから望ましくないとしている。このため、FAAはいくつかの法律案を作成し、国会議員の賛同を得ることにより、要望の実現に向けた活動を開始しており、一部の法案については国会審議も始まっている。

(畜産関係)

○アルゼンチン酪農振興機関法
  官民の関係者からなるアルゼンチン酪農振興機関を設立し、酪農振興計画の作成、研究開発の促進、需要の拡大などを図るとともに、関係者が遵守しなければならない最低生産者価格を設定する。
○肉用牛生産回復法
  官民の関係者からなる技術顧問委員会を設立し、最低生産者価格の助言、経営改善のための生産性向上、家畜疾病対策などを図るとともに、畜産振興事業に用いるための10億ペソ(335億円、1ペソ=33.5円)の基金を造成する。

(農業関係)

○借地法
  農業信託組織(農業ファンド)の拡大により、特に小規模生産者の経営からの離脱により、過疎化を招いているため、借地契約は5年以上、自ら農業を行う経営者に対する借地に関する免税、自ら農業を行う経営者に対する農業災害補償と技術導入などにより、経営改善を図る。
○輸出税率の区分化法
  小規模生産者が生産したトウモロコシ、小麦、大豆、ヒマワリについて、輸出税率を減免することにより、小規模生産者の収入を増やす。
 また、FAAは、傘下に農産品の輸出促進を目的とした強化財団(Fundacion FORTALECER)を設け、加入農家の農産品(ハチミツ、野菜、ワインなど)の輸出促進に向けた取り組みを開始したところである。

10月3日から6日間のスト再開を発表

 9月30日にFAAを含む生産者団体は、10月3日から6日間のスト再開を発表した。農畜産物の出荷を停止するものの、輸出向け穀物輸送を妨げるための道路封鎖は行わないとしている。

 FAAのブッシ会長は「農業スト後、2カ月間待ち続けたが、何も進展していない。その間に降雨不足や穀物価格の下落など農業を巡る情勢は悪化した。政府の対応次第で、道路封鎖を、自主的に行う者が表れるかもしれない。」と述べている

 一方、農牧漁業食糧庁のチェピ長官は「発表にとても驚いている。政府と生産者団体の対話に抗議活動は望ましくない。現在の不安定な国際金融情勢の中で、抗議は無意味である。」と述べている。
【松本 隆志 平成20年10月2日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤原)
Tel:03-3583-9805



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