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米国の2008年農業法(完全版)が成立

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 米国議会は2008年6月18日、当日の午前中に大統領が拒否権を発動した2008年農業法案(H.R.6124)を上下両院で再可決した。これにより、議会事務局の手続きミスで取り残されていた貿易関係の章を含む2008年農業法が完全な形で成立した。

これまでの農業法審議の経過

 米国の農業政策の枠組みを決める包括農業法は、おおむね5年に1度改正される。今回の農業法をめぐる議論は、米国農務省(USDA)が新農業法に関する政府提案を公表した2007年初めから活発化し、同7月の下院法案(H.R.2419)可決、同12月の上院法案(H.R.2419修正法案)可決を経て、2008年5月には両院協議会報告書を受けた包括農業法案(H.R.2419最終法案)が上下両院で可決されていた(下院可決が5月14日、上院可決が同15日。
2008年5月14日付け海外駐在員情報参照(http://lin.alic.go.jp/alic/week/2008/us/us20080514.htm

 この包括農業法案は、大統領の拒否権発動を覆すために必要な2/3の賛成票を上回る大差で可決されたため(下院は318対106、上院は81対15)、大統領が拒否権を発動しても議会の再可決で法律が成立することは確定的だったが、大統領は「不適切な法律には反対する」という原則を重視して5月21日に拒否権を行使した。

 この際、大統領が拒否権を発動した法案の正本から貿易関連の規定が欠落していることが判明したが、議会はこれを欠いたままの農業法の可決を急ぎ、5月21日に下院(316対108)、同22日に上院(82対13)で再可決することで大統領の拒否権発動を覆した。この結果、貿易関連条項を除く新農業法(P.L.110-234)は5月22日の時点で成立することとなった。しかし、貿易関係の規定を含む2008年農業法については、改めて一連の議会手続きを経る必要が生じていた。

大統領は再度の拒否権発動

 「完全版」の2008年農業法案(H.R.6124)は、下院ではP.L.110-234法の成立直後の5月22日に可決されていた(306対110)が、議会の日程の都合から戦没者追悼記念日の休会を挟んだため、上院での可決は6月5日となった(77対15)。さらに、ブッシュ大統領の欧州歴訪を踏まえて議会から大統領への法案送付を遅らせたため、大統領が実際に2008年農業法案に拒否権を発動したのは6月18日になった。

 大統領による二度目の拒否権発動を受けて、下院は同日午後に本会議を開催し、317対109の大差でこの法案を再可決した。また、上院も同日夜の本会議で80対14でこれを再可決した。この結果、6月18日付けで貿易関係の規定を含む完全版の2008年農業法が成立した。

 なお、一連の審議の過程で、議会は2007年12月19日に可決した2008年包括歳出法の付帯条項として2002年農業法を2008年3月15日まで延長したのを皮切りに、2008年3月12日、同4月16日、同4月24日、同5月1日、同5月15日と都合6度にわたってその期限延長が行われた。

農業法に対するWTO加盟国の反応

 2008年農業法は、多くの主要農業団体が1996年農業法の「失敗」から学んだ2002年農業法を高く評価し、これを微修正した上で継続しようと望む中で成立した。市場価格が高騰する現状こそ農業政策の改革の好機であると訴えた政府の理想は、選挙を控えた議員達の現実的な判断の下に骨抜きにされ、主要穀物のローンレートや目標価格が引き上げられるなど、農業者に手厚い政策が継続されることとなった。

 今回の農業法の成立を受け、WTOドーハラウンド交渉において米国の農業補助金の大幅削減を訴えていた途上国は、6月11日までジュネーブで行われた米国の貿易政策評価において、米国の新農業法が市場志向の農業に向けた改革の機会を逃すもので、ドーハラウンドの目的に照らしても不適切なものだと批判している。また、一部の加盟国は、食料価格の上昇を受けて、米国のバイオ燃料に対する支援措置を見直すことも求めている。

 一方、WTOのラミー事務局長は、多額の財政支出を伴う米国の新農業法への批判には同意しながらも、単に批判するだけでは状況の改善にはつながらないとして、事態の打開のためにはドーハラウンド交渉の妥結を急ぐ必要があるとしている。
【郷 達也 平成20年6月18日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 調査課 (担当:藤井)
Tel:03-3583-9532



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