需給動向 海外 |
明暗を分ける乳製品の卸売価格 |
増加し続ける生乳生産量米国農務省(USDA)によると、2008年9月の生乳生産量は685万7千トンとなり、前年同月比で1.7%増加した。1〜9月の累計では6,489万3千トンと前年同期を2.5%上回っている。2008年に入ってから生産者乳価が下落する中、生産者団体は10月24日、今年の夏に続いて今年2度目の自己負担による搾乳牛とう汰事業(CWT事業)を行うと公表した。とう汰参加者の募集期間は11月24日までとしており、12月以降にとう汰が開始されることになる。 なお、USDAが11月10日に公表した予測によると、2008年の年平均搾乳牛飼養頭数は、前月予測(10月)と同じ924万5千頭(前年比0.9%増)に、また、2009年も前月と同じ926万5千頭(前年比2.2%増)になるとしている。一方、8月、9月の1頭当たり乳量の実績が予想を上回ったことや飼料価格が低下していることから、2008年の生乳生産量は、前月予測を9万トン上回る8,609万トン(前年比2.3%増)に、また、2009年は前月を18万トン上回る8,686万トン(前年比0.9%増)に上方修正されている。 生産量は脱脂粉乳減でバター、チーズは増加脱脂粉乳の9月の生産量は3万9千トンと前年同月比4.0%減となり、今年初めて前年同月を下回った。脱脂粉乳の生産は毎年春に増加し秋から冬にかけて減少する傾向があり、前月の生産量から25.1%下回った。 一方、脱脂粉乳の9月末在庫量は6万5千トンと、前月比で7.2%減少した。しかし、前年同月に比べ20.3%以上回っており、2007年7月以降、前年同月を15カ月連続で上回って推移している。 図1 脱脂粉乳の生産量 バターの9月の生産量は5万5千トンとなった。バターはアイスクリーム向けのクリーム需要が減退する秋に生産が増えることから、前月比では4.8%増加し、前年同月比では7.4%増と、2005年以降、前年同月を上回る状況が続いている。 バターの9月末在庫量は8万4千トンと、前年同月の水準を22.6%下回った。好調な輸出需要などを背景に、今年5月以降前年を下回る水準で推移している。 図2 バターの生産量 チーズの9月の生産量は36万1千トンとなり、前年同月の水準を2.3%上回った。今年に入り、ほぼ一貫して前年同月の生産量を上回って推移している。 このうち、チェダーチーズの生産量は10万7千トン(前年同月比2.2%増)となり、4月以降6カ月続けて前年同月を上回った。 一方、モッツァレラチーズの生産量は11万7千トンと前年同月の水準を3.2%下回った。モッツァレラチーズの生産量は20年以上にわたってほぼ一貫して増加してきたが、今年3月以降前年同月を下回っており、2008年の年間生産量は減少に転じるものと見込まれる。 なお、チェダーチーズの9月末在庫量は25万1千トンで、前年同月の水準を2.5%上回り、6月以降は前年を上回って推移している。 また、モッツァレラチーズの在庫量も11万9千トンと、前年同月の水準を3.3%上回り、こちらも6月以降前年を上回って推移している。 図3 チェダーチーズの在庫量
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