農林水産省「牛乳乳製品統計」によると、平成21年5月のバターの生産量は、7,604トン(前年同月比5.5%増)となり、3カ月連続で前年同月を上回った。また、推定出回り量(消費量)は約4,900トン(同26%減)と大幅な減少となった。この結果、推定期末在庫量は、9カ月連続で前年同月を上回り、21年5月末では約32,300トン(同52.5%増)と2年9カ月ぶりに3万トンを超える大幅な増加となった。
種類別には、機構調べによる「品目別バター在庫量(国内乳業メーカー等14社計)」を見ると、5月は30,705トン(同62.8%増)となっており、うち業務用のバラは24,062トン(同97.2%増)とほぼ倍増した。(家庭用は前年同月を大幅に下回る1,140トン(同30.3%減))。
上記に対する需要側の要因としては、不況の影響が深刻化し、消費者がバターを使用する高級食品から離れる中、5月の大口需要者向け販売価格は、2年前に比べ約2割高のキロ当たり1,173円となっており、製菓、製パンメーカなどの大口需要者はバターの使用を減らし、マーガリンなどの代替品へ切り替えていったこと、成分調整牛乳の販売が好調なため、その製造過程でクリームが大量に発生し、長期保存の利くバターへと加工されていることなどが考えられる。
一方、供給面では小売価格の上昇による牛乳消費の減少や、景気悪化などによるチーズ需要の大幅な落ち込みの結果、バターに仕向けられる生乳が大幅に増加していることが考えられる。
このように、乳脂肪需要が如実に反映されるバターの在庫については、今後の動向を注視していく必要があろう。
図5 バターの推定期末在庫量と大口需要者向け販売価格の推移
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