需給動向 海外

◆豪 州◆

1〜5月の対日牛肉輸出、冷蔵グレインフェッド牛肉が大幅増


◇絵でみる需給動向◇


5月の牛肉輸出量、2ヵ月連続の前年割れ

 豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、牛肉輸出量は、2009年5月単月では、前年同月比11.8%減の8万2,856トンと2ヵ月連続で下回ったものの、1〜5月では、前年同期比2.6%増の38万2,017トン(船積み数量)とわずかに増加した。

経済の低迷にかかわらず対日向け冷蔵グレインフェッド牛肉輸出が大幅増

 輸出相手先別では、最大の輸出相手国である日本向けが前年同期比1.6%減の14万6,609トンとわずかに減少したが、このうち、冷蔵グレインフェッド牛肉は同17%増の4万7,203トンと大幅に増加した。MLAでは、日本経済の低迷にもかかわらず冷蔵グレインフェッド牛肉が増加した要因として、豪州における供給量の増加、豪ドル安による円ベースの輸出価格低下、ほかの市場における冷蔵牛肉に対する需要の減退によるものとしている。一方、冷凍グラスフェッド牛肉の対日輸出は、同4%減の5万9,829トンとなった。この要因として、加工用牛肉の調達をめぐり、ほかの市場、特に米国との競合があるとしている。米国向けを見ると、豪ドル安およびファストフードを中心とした加工用牛肉需要が堅調であることなどから、同50%増の12万4,886トンと大幅に増加した。

 同じく、韓国向けは、同29%減の3万9,283トンと前年同期を大幅に下回っている。韓国は2008年6月、米国との新たな条件での牛肉輸入に合意し、その後米国産牛肉の輸入が増加している。こういった状況を反映して、豪州産牛肉の韓国向け輸出量は、2008年7月〜2009年5月までの間、前年割れの状況が続いている。

牛肉輸出量

1〜5月の対日牛肉輸出量(船積重量ベース)

2009年の生体牛輸出頭数は、減少見込み

 一方、MLAによると、2009年1〜3月の生体牛輸出量は、前年同期比11%減の17万5,493頭と減少した。これは、昨年後半から今年初めにかけて、クイーンズランド(QLD)州中央部や北部準州(NT)の多くの地域で平年以上の降雨に恵まれたため生産者の保留意欲が高まったことや、今年初め、QLD州北西部やNT東部における豪雨による洪水の影響で家畜の移動が制限されたことなどが挙げられる。2008年の生体牛輸出は、過去最高となった2002年の97万1,880千頭に次ぐ86万8,510頭となった。この要因としては、NT中央部やQLD州西部における乾燥気候による影響で、多くの牛が生体輸出に向けられたことや、豪ドル安で輸出競争力が高まったこと、最大の輸出相手先であるインドネシアにおいてフィードロット産業の成長などによる強い需要があったことなどが挙げられる。しかし、2009年については、北部地域において気象条件に恵まれ、牛群の再構築が進むことや、インドネシアにおける穀物肥育牛肉に対する消費支出の低下見込みなどから、減少するとみている。

生体牛輸出頭数の推移

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