需給動向 海外

◆米 国◆

需給緩和が続く中、DEIPが5年ぶりに再開


◇絵でみる需給動向◇


依然として増加する脱脂粉乳の生産量

 米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、4月の生乳生産量は前年同月比0.1%減の731万トンとなり、2月に続き前年水準を下回った。生乳生産量については、2005年3月以降、一貫して増加傾向で推移してきたが、生乳生産者団体により行われている牛群とう汰事業による生産調整が奏功し、生産に歯止めがかかってきたものとみられる。一方、主要乳製品の生産量は、バターは前年同月比3.9%減の6万5千トンと3カ月連続で前年同月を下回ったが、脱脂粉乳は同3.1%増の6万3千トンと2カ月連続で前月を上回り、チーズも同3.2%増の38万4千トンと依然増加傾向で推移している。

脱脂粉乳在庫も増加

 一方、4月末現在の乳製品の民間在庫を見ると、バターは12カ月連続で前年を下回り、前年同月比3.5%減の11万トンとなっているのに対し、脱脂粉乳は16カ月連続で前年同月を上回り、同23.9%増の8万トンとなった。また、2008年10月から実施されている政府(商品金融公社:CCC)による乳製品の価格支持買入れは、6月の第2週時点で累計11万4千トンに及んでいる。政府は3月末、それまでの買入総量に相当する2億ポンド(約9万1千トン)の脱脂粉乳を国内栄養支援対策向けに振り向けることを公表したが、脱脂粉乳の価格支持買入れはその後も実施されていることから、CCCが大量の脱脂粉乳在庫を抱える状況は依然として続いている。

図1 脱脂粉乳の在庫量の推移

乳製品への輸出補助金交付を再開

 こうした中、政府は5月22日、乳製品輸出奨励事業(DEIP)に基づく乳製品への輸出補助金の交付を6月1日から再開すると公表した。約5年ぶりとなるDEIPの再開は、今年初めにEUが輸出補助金を再開したことが理由の1つとなっているが、生乳需給の緩和による乳価低迷に苦しむ国内の酪農家対策の側面も持ち合わせているとみられる。

 今回、政府が予算措置を講じたのは、脱脂粉乳68,201トン、乳脂肪(バター、バターオイルなど)21,097トン、チーズ3,030トン、その他乳製品(全粉乳)34トンである。しかし、実際に交付の対象となるのは、脱脂粉乳およびチーズが予算上限と同量であったのに対し、乳脂肪については予算措置を下回る1万トンであり、それぞれの需給事情を反映した形となっている。

 また、輸出補助金の交付対象地域は、カリブ海・中南米諸国、アフリカ・中東地域、アジア・旧ソ連地域に限定されるとともに、これら地域に含まれる国であっても、メキシコ、日本、韓国などは対象から除外されている。DEIPの再開によって、国内の需給状態が改善されるのか、今後の動向が注目される。

図2 DEIPによる補助金付き輸出の実績

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