需給動向 海外 |
2011年以降の牛肉生産量、輸出量は増加見込み |
2010年以降の飼養頭数は、安定的に推移豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は8月、2010〜2015年までの5カ年の肉牛需給予測を公表した。今回の予測は、2010年1月に公表した肉牛需給予測の期中改定版である。これによると、2010年6月現在の牛飼養頭数は、前年比0.3%増の2,799万頭となった。これは、2010年初頭より気象条件が回復し、クイーンズランド(QLD)州、ニューサウスウェールズ(NSW)州北部を中心に、牛群の再構築が進んだためとしている。 また中期的には、気象条件が良好であると仮定した場合、牛群の保留傾向が続く一方で、生体牛輸出の安定的な成長が見込まれることから、2011年以降も緩やかに増加していくと予測している。
2010年の牛肉生産量は、と畜頭数の減少などから前年を下回る2010年の牛と畜頭数(子牛含む)は、気象条件の回復から、前年比1.9%減の837万頭を予測している。当初予測に比べ20万頭程度上方修正されたことについて、インドネシア向け生体牛として輸出される予定であった1頭当たり350キログラムを超える牛が、同国政府の輸入制限によって輸出できず、豪州国内でと畜されたためとしている。2011年以降は、生産者の収益の回復やフィードロット稼働率の上昇が期待できる見込みから、2011年は前年比2.7%増の860万頭、2012年も同2.8%増の884万頭と予測している。その後も、国際的な牛肉需要の回復や牛肉生産量の増加が期待できると見込まれることから、前年を3%程度上回って推移すると予測している。 また、2010年の牛肉生産量(枝肉ベース)は、と畜頭数の減少などを背景に、前年比0.6%減の212万トンと見込まれている。 2011年以降は、農家収益の増加や市場価格の回復予測から、増加傾向で推移し、2015年では2010年比15.3%増の240万トンまで増加するとみている。 牛肉輸出量は、豪ドル高の落ち着きを期に増加2010年の牛肉輸出量(船積みベース)については、前年比2.9%減の90万トンと、前年をわずかに下回ると予測している。これは、生産量が減少の見込みであること、豪ドルが他国通貨に比べて高値で推移するとみられるためとしている。しかし、2011年以降は、前年を約3万トン上回る増加傾向で推移し、2015年には110万トンに達するとみられる。この要因としては、牛肉生産量が増加見込みであることに加え、景気の回復などから国際需要が増加することを挙げている。 2010年の生体牛輸出は、インドネシアの制限措置によって減少2010年の生体牛輸出は、主要輸出先であるインドネシア向けが前年と比べ大幅に減少するとみられることから、前年比16%減の80万頭と予測している。インドネシア政権は現在、自給率向上を目標に豪州からの生体牛輸入を制限している。その一環として、豪州からは1頭当たり350キログラム未満の生体牛に限って輸入するとし、また、輸入許可頭数も2010年は48万頭に据え置くと公表した。このため、インドネシア向け輸出は、制限数の48万頭を見込んでおり、前年を38%下回ると予測している。 MLAは、豪州政府やインドネシアの肥育業者などと規制の緩和を求めていくとしているが、インドネシア政府が具体的な上限頭数を公表したことから、今後も規制は続くとみている。
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