現行のゼロ許容量政策は見直されることに飼料用たんぱく原料の域内自給率が4分の1にとどまっているEUでは、大豆かすなどの飼料用原料を域外からの輸入に頼らざるを得ないが、同輸入に際し、EUにおいて承認されていない遺伝子組換作物(GMO)の偶発的混入が確認された場合、EUの現行政策(ゼロ許容量政策)に基づき、全量が輸入差し止めとされている。 現行のゼロ許容量政策は、2003年に定められたEU規則1829/2003に基づくものであるが、同規則施行後3年間は、同規則第47条の規定により、移行措置として一定の条件下で0.5%を超えない範囲で輸入される飼料用原料について未承認GMOの混入が許容されていた。しかしながら、2007年4月に当該措置が失効し、混入率の多寡にかかわらず一切の未承認GMO混入が認められなくなり、2009年に飼料用原料の輸入に深刻な影響が出たことは記憶に新しい(注1、2)。 このため、欧州委員会において、偶発的な混入が不可避な未承認GMOの許容水準の設定に向けた努力がなされてきたところであるが、今般、その水準を0.1%と設定することとし、2010年末あるいは2011年早々には、GMO問題を取り扱う食品チェーンと動物の健康に関する常設委員会(SCFCAH)において、許容水準を0.1%として設定する提案を是とする判断が下される可能性が高まった。 欧州委員会は当初、以下の5つのオプションを検討の俎上に載せたが、最終的にGMO問題について保守的な意見が大勢を占める欧州議会の同意を必要としないオプションBが最も実現可能性が高くかつ実効性があると判断されたもようだ。 ただし、専門家によれば、EUに仕向けられたアルゼンチン産トウモロコシにおける未承認トウモロコシGMO(GA21)の混入率は概ね0.1〜0.3%とされており、オプションBを導入したとしても部分的な解決しかもたらさないということになる。 なお、この0.1%の許容水準は、EFSAに対する承認申請が行われているものの最終的な承認には至っていないGMOであって、かつ、飼料に係る定量的な分析手法の認定をEUリファレンス研究所から受けたものに限って適用される方向となっている。 今後手続きが順調に進めば、2011年中には0.1%の許容水準が設定されるとみられることから、今後ともその推移を注視してまいりたい。
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