需給動向 国内

◆牛 肉◆

交雑種、品薄の影響により続伸


◇絵でみる需給動向◇


 22年10月の牛枝肉卸売価格(東京市場)を農林水産省「食肉流通統計」で見ると、不況の影響による個人消費の落ち込みを反映し、末端消費は依然として低迷しており、特に高級和牛であるめす和牛はA−5(東京市場)が、キログラム当たり2,302円(同6.0%安)、A−4が同1,754(同3.9%安)、去勢和牛もA−5が同2,058円(同4.0%安)、A−4が同1,679円(同5.3%安)と回復の兆しがないのが現状である。

 一方、交雑種を見ると、B−2規格でめす牛が同1,097円(同31.9%高)、去勢牛が同1,118円(同26.8%高)と前年同月を大幅に上回っている。11月(速報)においても、めす牛が同1,091円(同33.0%高)、去勢牛が同1,126円(同29.9%高)とも、高水準となっており、これは出荷頭数の減少による品薄感が強まっているもので、10月の生産量は7,216トン(同17.7%減)と4月以降の前年割れが継続している(図1)。

図1 枝肉卸売価格(東京市場)の前年同月比の推移
資料:農林水産省「食肉流通統計」

 また、交雑種(おす)については(独)家畜改良センターが公表している個体識別データによる出生頭数からと畜適齢期を迎える肥育牛のと畜頭数を推測すると、23年春頃まで前年比2割近い減少が継続するものと見込まれる。このため、今後は供給量がかなり大きく減少することから、枝肉価格は大幅に続伸する可能性が高いと考える。

 なお、枝肉相場は、交雑種は供給量減少による価格高騰や年末の忘年会シーズンを控え、すき焼きなどの鍋物を中心とした外食需要が急増することにより、和牛や輸入肉への代替えも考えられる。今後も枝肉相場を注視していく必要があろう。


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