需給動向 国内

◆牛 肉◆

震災後、東京市場の和牛去勢A−5の価格が低下


◇絵でみる需給動向◇


 3月11日に発生した東日本大震災は、インフラの損壊や近隣地域の燃料不足などを引き起こし、食肉処理場の操業停止など牛肉の生産にも影響を与えた。

 こうした中、東京市場の去勢和牛A−5の卸売価格が値下がりしている。和牛去勢A−5の価格は、消費者の経済性志向の高まりから近年値下がりを続けていたが、震災後、東京市場においてその傾向が顕著になっている。

 全国生鮮食料品流通情報センターによると、3月の全国の牛のと畜頭数は前年同月比96.2%となったが、震災発生前後で比較して見ると、3月1日から11日では前年同月比97.2%だったが、14日以降では95.5%とこれを1.7ポイント下回った(表1)。

表1 震災前後のと畜頭数の比較
資料:全国生鮮食料品流通情報センター

 一方、卸売価格は、東京市場では震災前の平均価格が1キログラム当たり2,234円、震災後では1,933円と301円(▲13.5%)値を下げているのに対し、大阪市場では震災前が2,108円、震災後が2,107円とほぼ変わらなかった(図1)。

図1 牛枝肉の規格別卸売価格の推移(和去勢A−5)
資料:東京食肉市場(株)、大阪市食肉市場(株)
  注:消費税を含む

 東京市場において値下がりが顕著になったのは、被災地から近く、震災後の流通網の混乱で食料品を含めた生活必需品が一時的に不足するなど消費者の先行不安が高まったことに加え、計画停電などの影響もあって自粛ムードが広がったことから、需要を弱めたものと考えられる。

 東京市場関係者によれば、4月の日々のと畜頭数は前年並みとのことから平常時に戻りつつあるが、食肉処理場の操業停止により、と畜後に東京市場に搬入される頭数は、例年よりは少ないとされ、震災の影響はまだ尾を引いている状態にある。


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