需給動向 国内 |
牛肉から暫定基準値を超える放射性セシウムが検出された影響により、7月19日に東京市場の牛枝肉取引価格が急落し、8月は回復したものの、9月に再び下落した。東京市場における牛枝肉卸売価格(和牛去勢A−4)の推移を見ると、7月は、前年同月比15%安の1435円とかなり大きく下落した。8月は同5%安の1600円と問題発生前の水準まで回復したものの、9月は同15%安の1446円と再び下落した。また、9月の省令価格を見ると、同26%安の804円となった。種別に見ると、和牛去勢では、B−3が同29%安の1023円、B−2は同30%安の824円、交雑種では、B−3が同19%安の963円、B−2が同26%安の779円、乳去勢では、B−2が同17%安の480円とそれぞれ大幅に下回った(図1)。
7月下旬から8月初旬にかけ、放射性セシウム問題による影響で、福島など4県の肉牛の出荷が制限されたが、8月下旬、相次いで出荷制限が解除され、9月半ばから、出荷が本格化した。こうした影響から、9月の東京市場における1日当たりの平均出荷頭数は、前月比で70.6%増と大幅に増加した。同市場における9月の枝肉相場の下落の要因について、牛肉需要が低迷する中で、このように取引頭数が増加したこと、福島県産をはじめとする4県産と北海道や他県産との産地格差が拡大していることが挙げられる。 牛肉需要が低迷する中、総務省「家計調査報告」の一人当たりの家計消費動向を見ると、牛肉について、全国では、7月が前年同月比8.6%減、8月が同7.2%減となった。これを地域別に見ると、東京都区部について、7月は同15.6%減、8月が同9.6%減と全国よりも下落幅が大きい。一方、8月の牛肉以外の食肉について、全国では、豚肉が同6.5%増、鶏肉が11.0%増、東京都区部では、豚肉が同3.8%増、鶏肉が同21.0%増となり、牛肉から豚肉や鶏肉に消費がシフトしていることがうかがえる(表1)。今後は、放射性セシウム問題による国産牛肉に対する買え控えも落ち着き、年末にかけて牛肉需要の増加が期待されている。
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