安定的に推移する生乳・乳製品価格


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 生乳価格および乳製品価格は例年になく安定 ● ● ●

 堅調な乳製品需要にもかかわらず、生乳価格および乳製品価格は今年に入って安定している。米国農務省(USDA)によれば、1〜8月までの生産者販売価格は100ポンド当たり14.5〜15.5ドル(1,653〜1,767円:1ドル=114円)、チーズ卸売価格がポンド当たり201.8〜208.3セント(230〜237円)、脱脂粉乳卸売価格が同90.4〜95.8セント(103〜109円)の範囲で推移しており、変動の激しかった前年と比較して価格は比較的安定している(図参照)。これは、今年に入って生乳生産が好調に推移していることが背景にあり、増大する乳製品需要を十分に吸収したことが要因となっているとしている。USDAによれば、一般的に価格が上昇する秋にかけても、価格の上昇がかなりの程度抑制されるとされている。


● ● ● バターの卸売価格は比較的著しく ● ● ●

 一方、バター卸売価格はその中でも比較的価格変動が著しかった。USDAによれば、1〜8月までのバター卸売価格はポンド当たり140.4〜168.6セント(160〜192円)の範囲の推移となっており、チーズおよび脱脂粉乳の変動幅が5〜6セント(6〜7円)に対して、バターの変動幅は28セント(32円)となった。これまでのバターの卸売価格の値動きを見てみると、年前半は比較的価格の下落が続いたが、夏休みシーズンを前に乳製品需要が増大し、在庫の品薄も手伝って価格は5月に反転、9月には、年初来最高のポンド当たり168.6セント(192円)を記録した。しかし、年後半の見通しについてUSDAは、夏休みを終えると乳製品需要が季節的に減少することから、冬にかけてバター価格は著しく下落することが予想されるとしている。

2005年1〜8月のバター生産量などの推移

資料:USDA


● ● ● 脱脂粉乳卸売価格は堅調に推移 ● ● ●

 脱脂粉乳卸売価格は堅調に推移することが見込まれる。USDAによれば、南半球で生乳生産が拡大していることから、価格は若干の値下がりがあるものの、影響が及ぶのは数ヵ月程度であり、国際価格は引き続き底堅く推移するとしている。米国の脱脂粉乳卸売価格も、国際価格の影響を受けて、2006年中ごろまでは安定的に推移すると見込まれている。

2005年1〜8月の脱脂粉乳生産量などの推移


資料:USDA


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