2005年の豚飼養頭数は前年比0.4%増と2年連続の増加


◇絵でみる需給動向◇


● ● ● 豚飼養頭数が増加傾向を強める ● ● ●

 イギリス食肉家畜委員会(MLC)はこのほど、2005年12月時点のEU25カ国の豚飼養頭数を公表した。これによると、豚飼養頭数は前年比0.4%増の1億5,172万頭となり、前年度のセンサスに続き豚肉生産を左右する豚飼養頭数が安定的に推移していることが明らかとなった。EUでは、BSEの発生で牛肉需要が豚肉にシフトしたため豚肉価格が高騰したものの、牛肉消費量の回復に伴い2002年以降は豚肉価格の低落を招いた。その結果、豚飼養頭数の減少が続いていたが、わずかながらも二年連続で飼養頭数が増加したことから減少に歯止めがかかりつつあるものと思われる。

 飼養状況を豚の種類別に見ると、繁殖用雌豚は前年並みながら妊娠豚が前年より2.0%増加していることから、当面は増加基調が続くと思われる。しかし、将来の豚生産の基礎となる未経産豚および20キログラム以下の肥育豚はいずれも前年より減少している。


● ● ● EU15カ国、上位国はドイツのみ増加 ● ● ●

 今回の飼養動向を地域別に見ると、EU15カ国は前年比0.3%増の1億2,237万頭とわずかに増加したが、第一位のドイツが同2.5%増の2,699万頭と前年を上回ったほかは、スペイン、フランス、デンマークおよびオランダの第五位までが前年並みもしくは前年を下回った。ドイツは繁殖用などの雌豚に加え、近年はデンマークやオランダから生体豚を多く輸入していることもあり、子豚やその他の肥育豚などのカテゴリーでも増加した。一方、デンマークはすべてのカテゴリーで前年を下回り、全体で見ると同6.0%減の1,512万頭とかなりの程度減少しドイツと対照的な動向を示した。


● ● ● NMSをけん引するポーランドは前年比7.6%増 ● ● ●

 2004年5月にEUに加盟した新規加盟国(NMS)の飼養動向を見ると、第一位のポーランド(NMSの6割以上、EU25カ国全体の中でも第三位を占める)が、前年比7.6%増の1,871万頭とかなりの程度増加したのが目立つ。同国は近年、ドイツ同様にデンマークから生体豚の輸入を飛躍的に増加させており、未経産豚以外のすべてのカテゴリーで前年を上回っている。ポーランドに次ぐハンガリーやチェコなどの飼養頭数は減少傾向が続いているものの、今後もポーランドは、安価な生産コストを背景として生体豚の輸入が増加すると見られていることから、NMSの豚飼養頭数は今後も増加するものと思われる。

EUの豚飼養頭数(2005年12月時点)

 資料:MLC


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