2008年生乳生産量は前年比2.4%増と予測
米国農務省(USDA)によると、 11月の生乳生産量は前年同月比3.2%増の679万9千トンと2005年3月以降33カ月連続で前年同月を上回って推移した。特に6月以降、生乳生産者販売価格が100ポンド当たり20ドルを上回って推移しており、第3四半期の搾乳牛頭数は前年同期比0.5%増の915万7千頭、1頭当たり乳量が同2.7%増の2,285キログラムとなり、2007年の生乳生産量は前年比2.1%増の8,418万6千トンと見込まれている。
USDAは、2008年の生乳生産量も、年初から搾乳牛頭数および1頭当たり乳量が例年に比べ高い水準にあるため、2007年比2.4%増の8,618万2千トンと予測している。
飼料コスト高により、生乳生産量の拡大は鈍化するとの見込みも
一方、USDAは、生乳生産量の拡大は、2008年に入りそのペースが減速するとも予測している。その要因として、USDAは、飼料価格、中でも大豆ミールの価格の高騰により酪農家の収益性の低下が見込まれることを挙げている。今後も比較的高い水準で乳価が推移し、アルファルファ価格が軟化するとの見通しはあるものの、生乳生産コストの指標となる生乳/飼料比は、2008年にかけて低下すると見込まれている。なおUSDAによれば、生乳/飼料比が3.0水準を超えると、酪農家の規模拡大意欲が刺激されるとしており、2007年12月現在では2.82となっている。
生乳需給見通し
飼料原料の価格の推移
生乳/飼料比の推移
生乳生産者販売価格は下落基調も、堅調な需要が乳価を支える見通し
2007年を通して生乳・乳製品の価格は前年を大きく上回って推移したが、乳製品価格はピーク時と比較するとやや下落基調にあり、今後チーズ向け、バター・脱脂粉乳向けの加工原料乳価格の低下が見込まれることから、USDAは、2008年の生乳生産者販売価格を2007年比約3.7%安の100ポンド当たり17.90−18.70ドル(キログラム当たり45.3−47.4円:1ドル=115円)と予測している。なお、米国では連邦ミルク・マーケティング・オーダー制度の下、地域ごとに用途別の最低取引価格を設定しているが、乳製品仕向け支払乳価は、乳製品の価格動向に基づき、乳成分の価値を勘案して算定される。また、飲用仕向け支払乳価はこれらの乳製品仕向け支払乳価を基に算定されている。
しかしながら、乳製品に対する国内外の堅調な需要や、生乳生産拡大の鈍化が見込まれることなどから、価格が急激に下落することはないとUSDAは予測している。
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