需給動向 国内


◆牛 肉◆

輸入牛肉卸売価格、豪州産急騰、米国産も高値で推移

◇絵でみる需給動向◇


輸入量、円安により大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、平成25年1月の牛肉輸入量(部分肉ベース)は3万4443トン(前年同月比7.3%減)とかなりの程度減少した。この結果、11月(同14.7%減)、12月(同20.0%減)と3カ月連続して輸入量が減少したことにより、輸入牛肉供給量が急減することとなった。

 国別で見ると、米国産の1月の輸入量は、3カ月連続して前年同月を下回る7,846トン(同0.6%減)となり、3カ月平均では同12.8%減とかなり大きく減少した。特に冷凍品については、3カ月平均で同21.0%減と大幅な減少をみせている。この要因としては、急激に円安傾向で推移した為替レートの影響が最も大きいと考えられる。

 為替レートは昨年12月以降、3カ月間という短期間で10円程度の円安ドル高となり、輸入価格は単純計算でも10%程度上昇したこととなる。

 このため、商社、卸売業者は輸入量を増加させることが難しい状況となり、さらに、国際的な穀物価格高騰に伴う現地相場高、輸入牛肉の月齢制限緩和による24年内の輸入手控えなどが加わったため、輸入量減少に拍車がかかったものと思われる(図1)。
 豪州産については、5カ月連続して前年同月を下回る2万1486トン(同13.6%減)と減少し、5カ月平均では同14.4%減とかなり大きく減少した。特に冷凍品については、米国同様、5カ月平均で同19.4%減と大幅な減少をみせている。

 この要因も、米国産と同様、為替レートの影響が大きいと考えられる。さらに、現地相場高、中国や米国など他国との競合により、日本向け輸出量が減少したことも少なからず影響したと思われる(図2)。

供給不足により、仲間相場上昇

 輸入牛肉の卸売価格(仲間相場)は、輸入量減少に伴う供給不足、円安傾向の為替レートなどの影響により、一部の部位を除き、上昇基調で推移している。

 豪州産については、グラスフェッド・フルセット(冷蔵)、カウミート・85CL(冷凍)ともに、輸入量が減少した秋以降に緩やかな上昇に転じ、特に平成25年1月以降は、供給不足に加え急激な円安により輸入価格が上昇したため、急騰する状況となった。

 米国産チャックアイロール(冷蔵)については、スライス材・焼き材として外食産業、量販店からの需要が高まった秋以降上昇し、今日に至るまで高水準で推移している。

 一方、米国産ショートプレート(冷凍)については、現地パッカーの操業停止、日本国内需要の高まりなどにより、一昨年末から昨年春頃にかけて急騰したものの、夏以降、その反動や供給が落ち着いたことなどから、相場は大きく低下した。その後、輸入牛肉の月齢制限緩和による「ばら」の輸入増加予想を受け、既存在庫が取り崩されていると言われており、低下が続いている(図3)。


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